大学側の新しい動きのウラで
私立大学の8割が「年内学力入試」を導入する報道がありました。これは、大学側が「一定の学力を持つ学生に入学してほしい」という意思表示でもあります。
これらの大学は受験希望者も多い、「中堅クラス以上の大学」です。
問題は、年内学力試験を実施できない大学
ただ、年内学力試験を実施できない大学もあります。学生が集まりにくい大学の中には、高校に対して、「指定校推薦」を大量に出すことで学生を確保してきたところもあります。
つまり、「とにかく一人でも多く生徒を送って欲しい」大学がこの層です。
高校に対し“何名送って”と割り当てる大学も
中には、高校に対し「指定校推薦で何名送ってほしい」と人数を割り当て、目標に届かなければ「来年は推薦枠を出さない」とする例も。つまり、「誰でもいいから生徒を送ってほしい」という状況が生まれているのです。
ひどい話ですが、高校側も「大学進学実績がほしい」ので、「指定校推薦の枠を失いたくない」ため、仕方なく応えているのが実情です。
専門学校は違うの?
「専門学校も偏差値を問わないのでは?」という疑問が浮かぶかもしれません。
でも、専門学校の場合は少し違います。専門学校で学ぶ内容は、医療、美容、保育、IT、映像、語学など専門的なもの。そもそも「偏差値」という一律の基準で測れないんですね。
専門学校は目的のある人が進学
専門学校には、「資格を取得したい」「この技術を身につけたい」といった明確な目的を持った学生が集まります。だからこそ、「誰でもいいから来てほしい」という専門学校はまずありません。
高校に対する接し方も異なります
中堅以下の大学は「誰でもいいから学生を送ってほしい」というスタンスで高校にアプローチし、専門学校は「○○に興味のある学生に来てほしい」というスタンスでアプローチしています。この違いは、とても大きいと思いませんか?
ミスマッチが生む問題
「誰でもいいから学生を入れたい大学」と「大学には行きたいけれど、勉強はあまり得意じゃない層」が出会ってしまうとどうなるでしょうか。
「入れるから」という理由だけで入学した結果、「思っていたのと違った」「授業についていけない」と感じて、退学を選ぶ学生が増えているのが現実です。
年間12万5000人が大学を離脱
実は、大学を退学する人は年間約6万人、休学する人も約6万5000人。合わせて12万5000人もの学生が、何らかの理由で大学から離れています。これは社会全体で考えるべき大きな課題です。
とりあえず大学に行ってどこかに就職できれば
保護者の皆さんが学生のころは、「大学に行っていい会社に就職できれば」が一般的な感覚でしたが、今はそういう時代ではありません。特に、専門性が乏しい学部はAIに置き換わる職種として就職活動も難しくなると言われています。
高校が教えてくれないこと
高校では、「うちの高校から○○大学に指定校推薦で何名入学しました!」という話はしますが、「○○大学に入学した学生のうち、何名が退学しました」という話は、絶対に表に出てきません。
保護者の皆様へ_「適性進学」の重要性
だからこそ、お子様と一緒に「適性進学」について、もう一度じっくり話し合っていただきたいのです。
大学に入って目的迷子になる前に
「大学には行きたいけれど、勉強は正直苦手」というお子様の場合、無理に大学を選ぶのではなく、専門学校という選択肢も視野に入れてみてください。
大切なのは、お子様が「何を学びたいのか」「どんな将来を描いているのか」という本人の想いに寄り添うこと。肩書きや世間体ではなく、お子様自身の幸せを一番に考えた進路選択をしていただけたらと思います。
万が一大学を退学しても再スタートできます
進学は人生の大きな分岐点。表面的な情報だけでなく、その先にある現実もしっかりと見つめて、後悔のない選択をしてくださいね。
でも、安心してください。万が一、大学を退学することになったとしても、再スタートできます。大学中退者も含め社会人から専門学校に年に4万人が入学しています。
| 専門学校は都道府県の認可校です |

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