「とりあえず大学」の発想は本当に危うい

① いま、「とりあえず大学」に警鐘を鳴らす理由

「とりあえず大学へ行けば安心」という感覚は、親世代には当たり前だったかもしれません

しかし今、その“常識”が子どもを苦しめるケースが増えています

なぜなら、大学の入試制度も、高校の進路指導も、当時とは大きく変わっているからです

その結果、入学後に「こんなはずじゃなかった」という“ねじれ”が各地で起きています

いま、大学を中退する人は年間6万人、休学する人も年間6万5,000人います

じつに、12万5,000人の人が、何らかの理由で大学を離脱しているにも関わらず、この事実は、大きく取り上げられていません

こんな状況にありながら、「知らない人は全く知らない」のが大学進学の実態です

② 昔の「とりあえず大学」と今の「とりあえず大学」は違う

今の高校生の親の時代は、一般受験が中心でした

難関大学でなくても、最低限の学力をつけて、入学試験を突破して大学へ行く

そこには一定の学力の裏付けがありました

今は、AO入試や指定校推薦が主流です

成績よりも“高校からの推薦”などが主流で、入試が“手続き化”していることも少なくありません

その結果、「学ぶ力」「学ぶ意欲」が不足したまま入学し、授業についていけない学生が増えているのです

③ 大学は定員確保、高校は大学進学実績づくり

18歳人口は年々減っています

なのに大学の数は、ほとんど減っていません
むしろ増えています

私立大学の6割が定員割れの状態にあり
歴史のある女子大学ですら、共学化に切り替え男子学生を受け入れる策を取り始めています

大学にとっては、学生を集めなければ経営が成り立たないのです

だから、AO・推薦を広げ、
「誰でも入りやすく」しています

一方で高校も、進学実績を数字で出したいのが本音

生徒一人ひとりの適性より、
「大学進学率」を高めるための、“進路指導”を行っています

高校の三者面談で、そのように感じた経験のある方は多いのではないでしょうか

④ 増える「大学やめたい」「想像と違った」──現役大学生の声

「思っていたのと違った」
「授業が難しくてついていけない」
──そんな声が大学1年生から多く聞かれます

中退者数も年々増加傾向にあります

背景には、メンタルの不調、単位不足、将来への不安、自己肯定感の低下など、深刻な問題が潜んでいます

「指定校推薦で大学に入れる」という理由で進学したものの、うつ状態になり、退学をする事例も増えているようです

⑤ 高校も変わっている──通信制高校の台頭と“適性進学”

高校の現場も変化しています

全日制だけでなく、通信制高校に通う生徒が増加中
18歳人口が減少傾向にあるなか、通信制高校の在籍者数は年々増加しています

その背景には「自分のペースで学びたい」「一律の進路指導では合わない」といったニーズがあります

“自分に合った学び方”を求める動きが広がっているのです

つまり“適性進学”です

今の時代、「とりあえず進学」はもはや通用しないのではないでしょうか

⑥「入りやすい大学」──進級・卒業しやすい大学ではない

近年、「とりあえず大学」に進学したものの、
授業についていけない、モチベーションが保てない、
そんな声が大学1年生からも多く上がっています

「誰でも入れる」ようになったと言っても
「誰でも卒業できる」わけではありません

目的や学ぶ力が不十分なまま進学すると、
途中でつまずくリスクが高まります

だからこそ、進路選びは“入りやすさ”ではなく、
「自分に合っているか」「納得して選べているか」が大切なのです

保護者も一緒に「とりあえず」ではなく、
「納得できる進路」を一緒に考える時間を、大切にしてください

⑦ 大学以外にもある「前向きな選択」

あえて言うと、
難関大学以外は、「大学に入りさえすれば何とかなる」時代ではありません

人手不足とはいえ、企業側も「より実践力の高い人材」を求めています
採用選考で「大学フィルター」があるのも事実です

ですから、「とりあえず大学」という考えは封印してください

大学以外にも、進路の選択肢はたくさんあります

・専門学校で資格を取る、スキルを高める

・就職して自立する。現場で経験を積める

・海外に出てワーキングホリデーなどで視野を広げる

・本当にやりたいことが見つかるまでフリーで働く

どれも立派な考え方です

「自分に合った道を選ぶ」ことが、今の時代に合った前向きな進路選択です

⑥ 保護者の方へ:「とりあえず」ではなく「納得」の進路選びを

子どもの進路に向き合うとき、
大事なのは「目的」と「学ぶ力」があるかどうか
そして「持続できるか」です

子どもの適性を一番よく理解しているのは保護者です

「みんな行くから」
「〇〇大学なら指定校推薦で行けるから」
「大学に行くことで将来が決まるから」ではなく、

本人が納得し、前向きに歩んでいける進路を支えてほしいと思います

18歳で決める道は、人生のゴールではありません
保護者の皆さんが高校生のころ、今のご自身をイメージしたでしょうか

だからこそ、「とりあえず」ではなく、
「納得できる進路」を探していきましょう

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