Fラン大量産“私大バブル”崩壊で─気づき始めた高校生と保護者

はじめに

大学は増えすぎ定員割れが当たり前

学力や適性に合わない“とりあえず大学”が広がり、入学後のミスマッチが深刻化

けれど今、

ようやく一部の高校生や保護者がその危うさに気づき始めました

これは、大学進学の“一部の慣れてしまった常識”を問い直す転機かもしれません

第1章 Fラン大学、なぜこんなに増えたのか

私立大学は全国に600校以上、じつにその約6割が定員割れの状態です

少子化で18歳人口が減っているのに新設や拡張は止まらない

30年も前から指摘されてきましたが結局、見直されませんでした

その背景にあるのが、
“大学設立=ビジネス”としての視点

大学設置の認可は、文科省が行いますが、
「天下り先」「利権構造」「地域振興の名目」など、教育とは異なる問題が指摘されてきたのは事実です

大学の新設は相次ぎ、
その中には学力向上や教育理念に疑問符が付くような大学も少なくありません

学生のためというより、
「教育の名を借りた“箱もの”」として大学が量産されてきたのです

第2章 指定校推薦が支える“空虚な大学”の実態

Fラン大学にとって、安定した学生確保の手段が「指定校推薦」です

事実上、学力試験なしで高校から学生を受け入れる仕組みは、
本来、意欲や適性を重視するもののはずでした

しかし現実には、偏差値の低い高校にも推薦枠を広げる動きが広がり、
高校側も大学実績を上げるために、大学ありきの指導を進めています

こうして進学した学生の多くが、入学後に
「講義についていけない」「学ぶ目的が見つからない」とつまずき、

退学・休学の増加につながっているのです

第3章 「学費支援」が招く“合わない進学”の連鎖

経済的に厳しい家庭の学生にも進学のチャンスを──。
そんな目的で導入されたのが「修学支援新制度」です

しかし、制度の恩恵を受けるために、「進学そのもの」が目的化され、
本人の学力や興味に関係なく大学を選ぶケースが増えました

「成績が悪くても」
「お金がなくても」
「ほぼ試験なしで」
進学できる仕組みは、

“誰でも大学に進学して卒業できる”という幻想を強めてしまったのです

そんな状況が、逆に“無理な大学進学”を後押ししている現実があります

支援制度は重要ですが、「進学前に立ち止まって考える」機会を失ってしまった側面は否定できません

第4章 親はなぜ、進学ミスマッチを見抜けなかったのか

今の高校生の親世代(40〜50代)は、かつて「就職氷河期」を経験しています

当時、高校卒業後の就職が「狭き門」となり、「より良い就職先を得るために大学進学」という考え方が定着したのです

その意識は今も根付いています

だからこそ、子どもには「安定のために大学へ」と願う気持ちも理解できます

とはいえ、近年はオープンキャンパスにも親の同伴も多く、
進学先について情報を得る機会はむしろ増えています

それなのに、なぜ“進学の失敗”を防げなかったのか?

それは、
「指定校推薦だから大丈夫」
「大学へ行けば何とかなる」
という思い込みが強く、

「何を勉強するのか」
「子どもは続けられるか」という
最も基本的な部分が、抜け落ちてしまったからです

その結果、ミスマッチを見抜く目を曇らせてしまったのではないでしょうか

第5章 それでも、気づき始めた親と子

最近、ある変化が見られます

「進学ミスマッチ」「指定校推薦で退学者が急増」などのニュースを通じて大学の実態に触れた高校生・保護者が、今の進路指導に疑問を抱きはじめています

「本当にその大学に行く必要があるのか」

「大学だけが進路ではないのではないか」

「専門学校の情報が少な過ぎないか」

などを問い直し始めています

大学という肩書ではなく、
「自分に合った学び方・生き方」を選びたいという思いが、若い世代の中に、確実に芽生え始めています

第6章 誰のための何のための進学か──問い直すとき

進学とは、「子どもが自分で選ぶ人生のスタート地点」のはずです

けれど今は、親や高校、大学側の都合で「選ばされた進学」があまりに多い

・定員を埋めたい大学

・実績をつくりたい高校

・将来が不安と感じる親

その三者の思惑が合致すると、子ども本人の意志や適性は置き去りになります

もう一度問い直すべきです─「誰のための進学か?」と

本当に子どもに必要なのは、
“とりあえず大学”ありません

納得のいく人生の選択肢を、一緒に考える姿勢です

高校や大学、そして親が押しつけた“進学ルート”に流されるのではなく

本人が、
「なぜそこに行きたいのか」
「何を学びたいのか」
を考える
「それを保護者と共有する」
それが、
進学のミスマッチを防ぐ唯一の方法です

大学に行くか、行かないかではなく

「納得して選べたかどうか」こそが大切な時代になっています

まとめ:ようやく始まった目覚めのきっかけ

Fラン大学の量産と大学神話の崩壊は、一部の高校生と保護者にとって、ようやく「目覚め」のきっかけになり始めました

■ 大学はゴールではない

■ 学費支援は手段であって目的ではない

■ 進学は「選ぶ」ものであり、「選ばされる」ものではない

この当たり前に、ようやく戻ろうとしています

さあ、素晴らしい時代の始まりです

専門学校は都道府県の認可校です