はじめに──選ばない大学、選ばせない高校
指定校推薦は、高校の推薦によって大学に入学できる仕組みです
一見、「高校で真面目に取り組んだ生徒を評価する制度」にも見えますが
本来、大学が責任を持って行うべき入学選考を、高校に丸投げしている側面があることは、あまり語られていません
大学は、生徒一人ひとりの詳細まで見て合否を決めるわけではありません
そのため、実質的に「入学者を選ばない」状況です
高校は、生徒一人ひとりの資質を優先した進路指導でなくなっている例も
そのため、大学に誘う「選ばせない進路指導」も存在します
この問題の背景には、次の“三つ巴”があります
1.私立大学の約半数が、いまも定員割れの状態
・2024年度には約6割まで悪化し、2026年度も275校・46%が定員割れという状況です
・ただし、この数字が近年やや改善して見えるのは、大学が生徒を増やせているからではなく、定員そのものを減らして帳尻を合わせているケースが多いためだと指摘されています
・つまり「志望者が戻ってきている」のではなく、大学側が生き残りのために規模を縮小している、という側面があるのです
・大学は、「定員を埋めるために推薦枠を拡大」しています
2.偏差値の低い高校でも、大学進学実績を作りたい
・高校は「とにかく大学に送り出すこと」が目的になっています
・高校側の評価にも進学実績が影響する仕組みがある
3.できれば子供を大学に行かせたいと願う保護者
・子供の適性より「大学に行けるなら」という安心を優先
「提示された大学に行く」だけの存在になってしまう
・保護者世代は大学進学が当たり前だった時代の感覚が残っている
この三要素が、絶妙のバランスで保たれてきたのが、指定校推薦枠の実態です
指定校推薦の裏にある「進学取引」でバランスが崩壊
そんな、複雑な進学構造と心理が”進学取引”を生み出しています
高校と大学の間で交わされる”指定校推薦”は、
本来は「相性の良い生徒を推薦する仕組み」のはずでした
しかし今は、その関係が完全に”取引”に変わってしまっています
それでも、これまでは何とかバランスが保たれてきましたが、”人数合わせ”の進学は限界点を超えてしまいました
ついにバランスが保てなくなり、退学者が増える結果となってしまいました
じつは置き去りにされている、生徒と保護者
そもそも、勉強が得意なわけでもなく、学びたい分野も見つかっていない生徒が、
三者面談などをきっかけに
「大学に行けるなら」と“進学の夢”を見せられ、
これまで具体的ではなかった大学進学を目指してしまう
でも、その夢は「誰かの数字のために作られた幻想」だった──。
進学した結果…
大学に入ってから、
「なんか違う」
「講義がつまらない」
「意味がわからない」
「行く意味ある?」
そう思っても、もう後戻りできない。
そして、最悪の結末──退学
こんなことが毎日、数えきれないほど起こっています
「指定校推薦で進学したけど、やめたい」が急増中
最近、指定校推薦で大学に入学したものの、早々に退学を選ぶ学生が増えています
中には、入学から半年も経たないうちに「もう無理かも」と感じる人も
これは、高校と大学、そして保護者の“思惑”が生んだ構造的な問題なのです
退学者は“本人のせい”だけではない“ある意味で被害者”
こうして退学した学生の中には、
「自分が悪かったのかも」と責める人もいます
でも、そうした構造に巻き込まれてしまった時点で、ある意味では“被害者”でもあるのです
もし、指定校推薦がなかったら──
もし、「合っているか」をちゃんと見極めていたら──
もしかすると、その大学には進学しなかったかもしれません
実際、大学進学者の8人に1人が中退しているというデータもあります
しかも、指定校推薦で入った学生ほど、学力のギャップから中退しやすいケースがあるとも言われています
誰かが生徒の立場を考えていれば、止められたルート
・大学が推薦枠を安易に広げなければ
・高校が大学進学実績の数字さえ追わなければ
・親が“大学ありき”で判断しなければ
生徒が無理に大学に行く必要はなかったかもしれません
実は、多くの高校では、送り出した先の大学の中退率までは確認していないと言われています
「送り出して終わり」ではなく、その先まで見てくれる進路指導は、まだ十分に広がっていません
じゃあ、どうしたらいいのか?
この構造を止めるには、保護者と本人の意識の変化が必要です
保護者は、
・子供が「大学向き」かどうか、本気で見極める
・「とりあえず大学」は、本人のためにならないと理解する
・「誰でも大学に行く時代」の中でも、自分たちは“考えて進学する”と決める
高校生本人も、
・「やりたいことはあるか」
・「続けられそうな分野か」
・「実習が多い専門学校の方が向いているのでは?」
といった視点で、自分自身と向き合う必要があります
大学で大丈夫?→専門学校がある
【とりあえず大学ではない、専門学校という選択肢】
「就職ミスマッチ」があるように「大学ミスマッチ」だってあります。進学目的がはっきりせず、モヤモヤしたまま大学に行って辞める人が増えています。
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進学先の決定に「本人」が不在では、続かない
指定校推薦そのものを否定するわけではありません
でも、そこに生徒本人がいないまま“枠”や“実績”だけで進学が決まるのは、やはりおかしい
進学とは、その先を自分で歩けるかどうかがいちばん大事です
「高校と大学の関係性」ではなく、
「子供自身の意思と特性」を軸に、進学を見直すタイミングが来ています























