じつは“大学進学のカラクリ”で選ばされている進路
「うちの子、来年は大学です」
「うちは推薦でもう決まりました」
そんな会話が当たり前のように交わされる高校の進路シーズン
進学が早々に決まることは、本人にとっても親にとっても安心材料に思えるかもしれません
けれど、その“安心”の裏側で、
大学をやめる、通えなくなる若者が年々増えています
なぜそんなことが起きるのでしょうか?
それは、本人の意思とは別のところで、“進学先を選ばされている”からです
本記事では、大学と高校がつくる“特殊な構造”“カラクリ”に目を向けながら、
高校生とその保護者がどうすればこの流れに巻き込まれずにすむのかを考えます
① 問題提起:誰のための進学か?
18歳人口が減少し、大学の定員割れが深刻になるなか、
多くの大学がAO入試や指定校推薦を通じて、入試を“手続き化”しています
一方、高校もまた、大学への進学実績を稼ぐために、
生徒の特性や資質よりも「とにかく大学へ」の進路指導に傾いています
そこには、「子どもにはせめて大学へ行ってほしい」という、
保護者の切実な気持ちが利用されている構図があるのです
② 背後にある構造:表向きは“ウィンウィン”だがその陰で
大学は学生を確保でき、高校は進学実績を残せる
保護者は「とりあえず進学できた」と安心し、
生徒本人も「推薦で決まってよかった」と言う
一見、誰も困っていないように見えるこの構造
しかし実際には、大学中退者、休学者が急増しています
理由は明確です
「なぜその大学に行くのか」
「そこで何をしたいのか」
そうした基本的なことが、入試でも高校の進路指導でも問われていないからです
最も重要な部分に触れず、“大学と高校の人数合わせ”になっていると言っても過言ではありません
③ 大学と高校が作る“進学ビジネス”
この状況を招いているのは、大学と高校による見えない共犯関係です
あえて強い言葉を使いましたが、これは“進学ビジネス”です
大学は、定員を満たすために推薦枠を拡大し、
高校は、その推薦枠を使って実績を積み上げる
そして、「うちの高校から〇〇名大学に進学しました」と宣伝に使うカラクリです
生徒の意思は形式的に確認されるだけで、
推薦理由書も面談も、「手続き」を通すことが目的化しています
こうして、「進学ありき」「大学ありき」の流れに乗せられた高校生たちは、
大学に入った瞬間から、居場所のなさや違和感に直面することになります
「思ったのとちがう」
「ついていけない」
「合わない」
「大学に向いてない」
「辞めたい」
こんな悲痛な声があがっているにも関わらず、これまで通りの進路指導が何の問題もなかったように行われています
大学を退学する人は年間6万人、休学する人も年間6万5,000人います
つまり、年間約12万5,000人の学生が、大学を離脱しているのが現実です
高校では、
「大学に進学した学生のうち何名が退学しました」
とは、絶対に公表しません
④ 保護者の心理が利用される:承認欲求が子どもを追い詰める
この構造を下支えしているのが、保護者の善意と不安です
「うちの子は勉強は得意じゃないけど、せめて大学だけは」
「高卒じゃ将来が不安だから」
そうした思いが、高校と大学の思惑と合致し、
「大学進学=正解」という幻想を強化しています
本音を言えば「大学に行きたくない」生徒も、親の期待に逆らえず、
進路調査では「大学進学」と答える
目的意識が伴わない「とりあえず大学」状態です
こうして沈黙する高校生が量産されていく構造が見え隠れします
⑤ 救済の鍵は「本人の納得感」
いま必要なのは、「とりあえず大学」ではなく、本人の納得感です
・本当はどこで学びたいのか
・自分は何を学びたいのか
・その道に進んで何をしたいのか
・あるいは、まだ分からないという状態なのか
こうした問いに向き合える環境づくりこそ、高校・保護者・社会に求められています
専門学校、高卒就職、ギャップイヤー(すぐに進学せず社会経験)など、
大学以外の選択肢をタブー視しないことです
そしてなにより、子どもが自分の言葉で話せる空気を、大人が用意することが大切です
⑥ 誰のための進学か──問い直すときが来た
大学進学は「安心材料」ではありません
むしろ、選ばされただけの進学は、本人の人生にとって大きな負担になります
いま進路選択をめぐる“構造的な問題”に光を当て、
現役の高校生とその親が、選ばされる側から、選ぶ側へと立ち戻るきっかけが必要です
この“特殊な構造”を崩さなければ、
これからも“18歳の希望”は、静かに壊され続けることになるでしょう
でも、皆さんはここで“カラクリ”のことを知りました
進学先を選ばされていたことに、気づいたのです
もう、同じ過ちを繰り返してはいけません
⑦ では、現役の高校生と保護者はどうすればいいのか
まず、高校生に伝えたいのは、
「分からない」と言うことを恐れなくていい、ということです
自分の将来がはっきり見えないのは当たり前です
「なんとなく大学」ではなく、本当に自分が求めている道なのかを、立ち止まって考えてほしいです
そして保護者には、
「とにかく大学へ行けば安心」という思い込みを一度手放してみてほしいのです
その安心感が、結果的に子どもの沈黙を深めることもあります
「大学進学ありき」ではなく、どんな選択肢も尊重するという姿勢が、子どもが本音を言える土台になります
大学進学が悪いのではありません
問題は、それが本人の意思ではなく、
周囲の期待や“特殊な構造構造”によって“選ばされる進学”になっていることです
必要なのは、大学かどうかよりも、「自分で選んだ」と胸を張れる進路です
| 専門学校は都道府県の認可校です |

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