将来やりたいことがない高校生へ─進路の考え方と選択のヒント

「やりたいことが見つからない」=他人には分からない気づき

「将来何がしたい?」

そう聞かれても、何も思い浮かばない──。
そんなふうに悩む高校生はあなただけではありません

でも、「勧誘で入った部活」が楽しくなって、夢中で練習している人だっています

そう考えてみると、“最初は知らなかったけど始めてみたら自分に合った”と感じている人は意外に多いのかもしれません

実は多くの高校生が
“やりたいことがわからない”まま進路を選んでいるのが現実です

それは恥ずかしいことでも間違っていることでもありません

今、高校では偏差値の高低を問わず、大学進学に偏った進路指導が普通です

その結果、「何でもいいからとりあえず大学」に進学する人も多いなか、「やりたいことが見つからない」と、自分で気が付いているのは、優れた感覚と言えます

当たり前を整理して一緒に考えましょう

ここで紹介しているのは、特別な話ではありません
でも、何かを期日までに決めるためには、「当たり前をちゃんと考える」ことをしないと、答えがまとまりません

・あなたが、高校1年生だったらまだ時間はあります

・高校2年生の場合は、そろそろ動き出した方がいいです

・高校3年生だったら、早めに方針を決めなければなりません

ひとつずつ考えていきましょう

進路の選択肢は、大きく分けて3つ

① 大学に進学する

特に指定校推薦で進学できる場合、受験の負担は少なくなります
ただ、「なんとなく行く」だけだと、モチベーションが続かず、意味を見いだせないこともあります
途中で退学したり、休学する人も増えているので、慎重に選びましょう

向いている人

・本当に好きな分野か分からないけど、時間をかけて探したい

・自ら学ぶことは好きな方だと思う

・「大卒」の学歴がほしい

② 専門学校に進学する

専門学校は「職業に直結するスキル、資格を習得する場所」です
CG・IT・ホテル・空港・公務員・ビジネス・美容・保育など、分野は多岐にわたります

向いている人

・「大学の講義」より「実習を通じて学ぶ」方が合っている気がする

・社会で使える実践的なスキルや資格を習得したい

・社会に早く出て自分で収入を得たい

※「ちょっと覗いてみよう」くらいの気持ちでも、オープンキャンパスに行く価値はあります
※友だちの同伴でオープンキャンパスについて行き、一緒に入学した例もあります

③ 高校卒業後、就職する

大学や専門学校に進まず、高校卒業後すぐに働くという選択肢もあります
「やりたいことが決まっていないけど、進学する気にもなれない」──そんな人にとって、実際に働くことが“自分を知る”第一歩になる場合もあります

メリット:

社会経験が早く積める
働くことで、「自分に向いている・向いていないこと」を実感できます

収入を得られる
収入を得ることで、自立することができます

目的を持った再進学にもつながる
働いた経験から「もっと学びたい」「資格を取りたい」と思ったとき、進学の動機がはっきりします

デメリット:

高卒での就職は選べる職種が限られる
製造、販売、事務などが中心。やりたい仕事に就けない場合もあります

周囲と違う進路への不安
進学する友達が多い中で、自分だけ就職することに孤独を感じることも

向いている人

・勉強よりも実際に働く方が合っていると思う

・経済的に自立したい、家計を助けたい

・一度社会に出てから進路を考え直したい

・大学や専門学校に「なんとなく」行きたくない

④ その他:ギャップイヤーを取る

最近少しずつ知られるようになった選択肢が「ギャップイヤー」です

ギャップイヤーとは?

高校卒業後すぐに進学や就職をせず、1年間、自分の時間として使うこと

過ごし方の例:

・アルバイトで社会経験を積む

・留学や地域貢献などに挑戦

・興味のある分野を体験してみる(プログラミング、映像制作など)

・自分の将来をじっくり考える

向いている人

・今の段階で決めきれない

・何か経験してから進路を決めたい

・無理に進学して後悔したくない

※日本ではまだ少数派ですが、英語圏の大学の中には入試から入学までの期間をあえて長く設定して(7月卒業、9月入学)、その間に大学では得られない経験をすることが推奨されています

進路に正解はない。でも、行動はヒントに出会う!

「やりたいことがない」と感じていても、体験してみることで興味が芽生えることはよくあります

たとえば、専門学校のオープンキャンパスや会社見学、アルバイト、YouTubeで業界紹介を見てみるなど、小さなアクションが自分の世界を広げてくれます

食べず嫌い」と同じ

友だちに勧められて食べた「お菓子」が、予想以上に美味しかった!
そんな経験はありませんか?

「進路とお菓子は違う」と言われてしまいそうですが、自分で体験したり、そこにいる人に会ってみることで、知らなかったことに気づくことは広い意味で一緒です

最後に──進路を選ぶ前に、自分にこう聞いてみて

・「今のまま、大学に進んだとして、続けられそう?」

・「少しでも興味のある専門学校なら、取り組めそう?」

・「高校卒業後、すぐに社会に出たい? それとももう少し時間がほしい?」

・「“なんとなく楽しそう”なものは、何かある?」

進路は自分を知るきっかけ

進路は、「今すぐ未来を決める」ためのものではなく、
“自分を知るきっかけ”として考えてもいいのです

進路選びは「未来を決める課程」ではなく、
自分を知るためのスタートラインと思ってください

親の意向より、あなたの気持ち

親は、あなたのことを思って「こうした方がいい」という意見を出しますが、進路はあなたが歩む道ですから、「あなたの気持ち」を最優先にしてください

やりたいことがなくても、決めるのが進路

高校を卒業するときには、やりたいことがなくても、「進路は決めなければなりません」。たとえば、音楽の才能があったとしても、「プロになる・ならない」の進路は決める必要があるのです

主な選択肢は3つ+αですから、どんなに迷っても選べる範囲です

あなたの選択が、あなたらしい道につながりますように、応援しています

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