リハビリの仕事に就くには:理学療法士と作業療法士の違いと、キャリアの選び方

リハビリの専門職として、理学療法士と作業療法士はどちらも医療現場で重要な役割を担っています。しかし、その仕事内容や求められる資質には明確な違いがあります。また、「国家資格」取得のルートとして大学と専門学校のどちらを選ぶべきかも、多くの人が悩むポイントです。

理学療法士と作業療法士:何が違う?

結論:

理学療法士:たとえば、スポーツ選手が痛めた箇所を治すのが仕事
つまり、「痛みを治し、動けるように」します
作業療法士:患者さんが「やりたいこと」をできるようにする仕事
つまり、「心に寄り添いながら、生活を豊かに」します

もう少し詳しく:

理学療法士(PT:Physical Therapist)は、主に「基本的な動作能力の回復」を目指します。立つ、歩く、座るといった日常生活の基本となる動作を、運動療法や物理療法を通じて改善していきます。スポーツ選手のケガのリハビリや、脳卒中後の歩行訓練など、身体機能そのものの回復に焦点を当てます。

作業療法士(OT:Occupational Therapist)は、「その人らしい生活」を取り戻すことを重視します。食事、着替え、趣味活動など、患者さんが「したいこと」「できるようになりたいこと」を実現するためのサポートをします。身体的なリハビリだけでなく、精神面のケアや認知機能の改善にも深く関わるのが特徴です。

大学か専門学校か:現場で活躍するための選択

理学療法士・作業療法士になるには、国家資格の取得が必須です。そのルートとして、4年制大学と3年制(または4年制)専門学校があります。
どちらも、資格取得に向け、「座学」「試験対策講座」は充実しています。
その上で、大学と専門学校は、何がどう違うのかを説明します。

専門学校の強み

実践的な教育に特化している点です。早い段階から臨床実習が多く組み込まれ、現場で即戦力となるスキルを身につけられます。患者さんとのコミュニケーション能力や、チーム医療における協調性も、実習を通じて自然に磨かれていきます。

専門学校では「現場で患者さんに寄り添う」という実践的な姿勢を、日々の教育の中で繰り返し学ぶ機会が多いのは事実です。

大学の強み

幅広い学問的基礎と研究能力を養える点です。医学的知識をより深く学び、将来的に研究職や教育職、管理職を目指す場合には有利です。また、近年は高度な専門性が求められる場面も増えており、大学院進学を視野に入れるなら大学卒業が前提となります。

どちらを選ぶべきか?
実践的スキルなら専門学校がおすすめ

結論として、「早く現場に出て患者さんと向き合いたい」「実践的なスキルを最優先したい」という方には専門学校が適しているでしょう。一方、「将来的に専門分野を深めたい」「研究や教育にも関心がある」という方には大学がおすすめです。

重要なのは、どちらのルートを選んでも、現場で求められるのは患者さんに真摯に向き合う姿勢チームの一員として協調できる能力だということです。学歴よりも、日々の実践の中でどれだけ成長できるかが、リハビリ専門職としての真価を決めます。

自分に合ったリハビリの道へ

たとえば、看護師として病院勤務をしている人が「自分が本当にやりたかった患者さんのケアは、介護士の仕事だった」と気づいた例があります。

リハビリの仕事も同様で、「身体を治すリハビリか」「心もケアするリハビリか」は、言われてみないと気付かない視点です。

理学療法士に向いているのは

身体のメカニズムに興味があり、運動を通じて人を元気にしたいと考える人です。スポーツ医学や整形外科分野に関心がある方には特に魅力的でしょう。

作業療法士に向いているのは

一人ひとりの「やりたい」を実現させて、「生活」や「人生」に寄り添いたいと考える人です。高齢者ケア、精神科、小児分野など、幅広い領域で心と体の両面からサポートしたい方に最適です。

あなたがどんなリハビリを提供したいか

リハビリの専門職は「人の人生に深く関わる」やりがいのある仕事です。自分がどんなリハビリを提供したいか、どんな患者さんの笑顔が見たいかをイメージしながら、進路を選んでください。

「この人に任せたい」と思われる人間性

医療の現場は、学歴や資格だけでなく、「この人に任せたい」と思われる人間性と実践力が何より大切にされる世界です。大学でも専門学校でも、その学びを通じて患者さんのために成長し続ける姿勢こそが、最も重要な資質なのです。

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医療・歯科衛生・リハビリ・介護の専門学校