はじめに
今、私立大学の約6割が定員割れの状態で、各大学は偏差値の高くない高校に対しても「指定校推薦」を提示するなどして”学生募集”に努めています
俗にいう、Fラン大学など、志望者が少なく人気のない大学・学部の一部では、AO入試や指定校推薦枠の拡大で、入試が”事実上手続き化”しているのが実態です
1. 夏本番:進路選びの「最終局面」で見えるもの
夏休みに入り、進路決定に向けた動きが本格化しています
大学・専門学校ともにオープンキャンパスへの保護者の参加が増えていますが、その“関わり方”には違いも見られます
「とにかく大学に行ければどこでもいい」という客観的なスタンスと、
「専門学校の資格や職業について調べてみよう」という主観的な姿勢です
オープンキャンパスに同行した親の行動からは、進路に対する考え方につながる”行動の違い”をはっきり見ることができます
2. 大学オープンキャンパスに見る「とにかく大学の親」
大学全入時代で“入れて当たり前”になっている今、「指定校推薦で入れるならどこでもいい」「とにかく大学に行けば安心」という雰囲気が一部にあります
大学選びは、AO入試や高校の指定校推薦などで、入試が手続き化していることもあり、その大学について「他と比較する」ことや「子どもの適性に合うか否か」は、あまり重視されないこともあります
こうしたケースでは、親が学部やカリキュラムに深く関心を持たず、「大卒」という肩書を優先しているので、形式的な同伴が多くなりがちです
進学後に「やりたいことがわからない」「想像と違った」となる背景には、こうした“無関心な同意”が影を落としているのではないでしょうか
3. 専門学校のオープンキャンパスに見る「調べる親」
一方、専門学校では、親が資格や職業の説明に真剣に耳を傾ける姿が多く見られます
質問を積極的にしたり、学費や就職実績や授業内容を具体的に比較したりする親も少なくありません
「何を学ぶのか」「卒業後はどんな仕事につながるのか」といった視点を持ち、子どもと一緒に進路を“調べる”姿勢が感じられます
この関わり方は、子どもの進路に対する納得感を高める大きな要因になっているのではないでしょうか
4. 親の関わり方が、進学後の納得感を左右する
進学後に「大学をやめたい」「思っていたのと違う」と感じる学生は少なくありません
「大学を辞めたい気持ちを親に言い出せない」
「指定校推薦で大学に進学したから高校に言いにくい」
なかには、「大学に馴染めない」「ついていけない」と、うつ状態になってしまう例もあります
その背景には、親子の情報共有の少なさや、十分な比較検討をせずに進学先を決めてしまったことがあります
専門学校進学者の中には、入学前から将来の職業に向けた明確なイメージを持っている人も多く、納得感を持って学べている傾向があります
親の関わり方が、本人の進路満足度に影響していることは否定できません
5. 進路選びで大切なのは、大学か専門学校かではない
重要なのは、大学か専門学校かという「形式」ではなく、本人が何を学びたいのか、どんな未来を描いているのかという「中身」です
そして、それを親がどれだけ理解しようとしているかが問われています
親が選ぶのではなく、親が理解者として関わること
進路選びは、子どもと親が社会について話し合う貴重な機会でもあるのです
6. この夏:親ができるアップデート
オープンキャンパスは、子どもだけでなく親にとっても“学びの場”です
進路選びで、「どこに行くか」ではなく、「どう学び、どう生きるか」に焦点を当てるには、親の視点のアップデートが欠かせません
この夏、親子でしっかり対話を重ね、子どもが自分の進路に納得して進めるよう、寄り添う姿勢を持って、子どもの適性に合った進路を研究してみてください
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