高校生と保護者が知っておきたい、採用の現実
私立大学では「年内学力入試」を希望する大学が増えています。早い時期に学力試験を行い、合否が決まる仕組みです。この動きを見て、「学力試験があるなら、少し安心できそう」と感じる人もいるかもしれません。
Fラン大が無くなるわけではありません
ただ実際には、学力試験があるといっても、その内容や重みは大学ごとにかなり違います。試験は行われていても、合否への影響が小さかったり、これまで入りやすいとされてきた大学も同じ入試方式に含まれていたりします。そのため、高校生や保護者にとっては、大学の違いが以前より分かりにくくなっているのが現状です。
こうした中で気になるのが、「企業の評価」ではないでしょうか?
高校生のみなさんへ
「大学に進学できれば、将来の選択肢は広がる」
これは間違いではありません。ただ、大学に入ること自体がゴールになると、あとで戸惑うこともあります。
就職活動で企業が見ているのは、大学名だけではありません。
- どの高校からその大学に入学したか(高校の偏差値・大学入試)
- どうしてその大学や学部を選んだのか(興味・探求心)
- 大学でどんなことを学んできたのか(専門性)
- 働くことについて、どんなイメージを持っているのか(就活)
こうした点を、ゆっくりでも自分の言葉で話せるかどうかが大切にされています。
特に、比較的入りやすい大学の場合は、「なぜそこを選んだのか」を丁寧に聞かれることが多くなります。
「特に理由はなかった」
「周りが大学に行く流れだったから」
こうした答えが悪いわけではありませんが、好印象にならないこともあります。
専門学校が評価される局面も
大切なのは、正解を言うことではなく、自分なりに考えて進路を選んだと言えることです。専門学校など、別の進路を選んだ人が評価される場面があるのも、その理由がはっきりしているからです。
保護者の方へ
「大学を出ていないと、就職で不利になるのでは」
そう感じるのは、ごく自然なことだと思います。ただ、企業の採用現場では、大学進学そのものが安心材料になるとは限らなくなってきています。
卒業してから「資質が問われる」事実
人事担当者が見ているのは、
- この人は入社後に成長していけそうか
- 職場に無理なくなじめそうか
- 自ら積極的に学んでいけそうか
といった点です。社会に出れば“答え探しの連続”ですから、学習の進め方や、物事への向き合い方が重視される傾向があります。
「向いてない」と退学する人も増えています
学力試験がほとんどない形で大学に進学した場合、大学生活の中で学ぶ目的を見失ってしまうこともあります。
何とか無事に進級できても、いざ、就職活動の場面で「何を頑張ってきたのか」をうまく伝えられず、苦労するケースも見られます。これは能力の問題というより、進路選択の段階で少し無理があったと考えたほうがよいかもしれません。
企業が、特定の大学の学生を採用したことで評判が悪くなる、ということはほとんどありません。
ただ、入社後の定着や成長がうまくいかなければ、結果としてその大学からの採用を減らしている、ということは実際にあります。
高校生・保護者に共通して伝えたいこと
今、大切にしたいのは「大学に行くかどうか」ではなく、
その進路が、本人にとって納得できるものかどうかです。
- 何を学びたいのか
- どんな仕事に少しでも興味があるのか
- どんな働き方なら続けられそうか
すべてが決まっていなくても構いません。ただ、「入れそうだから」「安心そうだから」だけで選んでしまうと、あとで立ち止まる場面が増えてしまいます。
社会に出て試される「過去の進路の考え方」
大学でも、専門学校でも、社会に出たときに評価されるのは、自分の進路をどう考えてきたかです。
「とりあえず大学」という選択が、本当に今の本人に合っているのか。
ぜひ一度、親子でゆっくり話し合ってみてください。
| 専門学校は都道府県の認可校です |

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