目指すゴールが全く異なります
まず、専門学校とFラン大学を天秤にかける考え方自体が、根本的に間違っているのでは?という話です。
なぜなら、両者は「目指すゴール」がまったく異なるからです。
さらに、今は「学歴」から「学習歴」を重視するなど、社会の価値観が大きく変わってきています。
大学卒が、学歴として通用するのは、名門大学と難関大学だけと言っても過言ではありません。
専門学校は「業界のプロ」・Fラン大は「会社員」
- 専門学校: 特定の業界のプロとして職業に就くための「資格取得」「技術・技能」を学ぶ場所。さらに、学生は選手、先生はコーチのような関係で、「学校一丸となって目標に向けサポート」を行います。
- Fラン大学: 一般的な「教養・学術」を広く学ぶ場所。大学は専門学校と違い、学生自ら「学びたいテーマを見つけて講義を受ける」場所です。
卒業後のイメージを分かりやすく言うと、専門学校は「業界のプロ」を育てる学校で、Fラン大学は「広く会社員」を育てる学校です。
なので、どちらがいいとか悪いではなく、「どちらが自分の目指すキャリアに合っているか」という視点で考えるべきです。
少しだけ難しい話をすると、これは「仕事観」「人生観」に関わる話です。
専門学校の価値の高さ
Fラン大学と比較した際の専門学校の優位性は、以下の点に集約されます。
1. 社会の評価
- 専門性: 専門学校の卒業生は、特定の分野の知識やスキルを身につけているため、即戦力として評価されます。
- 即戦力: 企業は、新卒採用に際して、育成コストを抑えたいと考えています。専門学校の卒業生は、入社後すぐに業務に貢献できるため、非常に高く評価されます。
- 国家資格: 多くの専門学校では、その仕事をするために必要な国家資格取得を目指します。これらの資格は、社会からの信頼が厚く、安定したキャリアを築く上で大きな武器となります。
2. 卒業の価値
- 実務能力: 専門学校では、実習や演習を重視したカリキュラムが組まれています。これにより、卒業時には、実践的なスキルを身につけることができます。
- 専門分野での就職: 専門学校は、特定の業界や企業との結びつきが強く、卒業生の就職率は非常に高いです。
3. 就活の実状-「スカウト型」
- 就職活動の効率性: 専門学校の就活は、企業が直接、学校に対して求人依頼をする「直接的・スカウト型」です。業種により異なりますが、学生ひとりにつき数社~十数社からオファーが届きます。これにより、学生は、自分に合った企業を効率的に見つけることができます。
就職指導が綿密で、学生が「就活迷子」になることはありません。 - 企業からの信頼: 専門学校は、その分野での教育実績が評価されており、各企業からの信頼も厚いのが最大の強みです。
4. キャリアチェンジの実状
- スキルを活かした転職: 専門学校で身につけたスキルは、転職の際にも大きな武器となります。
専門学校に進学すると、同じ仕事を続けることになると考える人が多いですが、「専門家としての経験」は、業種、職種を代えても十分にその価値を発揮しています。 - 需要の高さ: 「学歴より学習歴」に注目が集まっています。専門職の需要と評価は高まることが予想されており、専門学校の卒業生は、「学習歴」を重ねながら、キャリアを築いていくでしょう。
Fラン大の何が問題なのか
1. 指定校推薦の拡大
- とくに問題視されているのが、指定校推薦です。人気が低く、応募者が少ない大学・学部で、偏差値の高くない高校に対して「指定校推薦の枠を提示」する仕組みです。
事実上、無試験に近く「入試が手続き化」しているため、基礎学力の乏しい学生の入学が可能になります。
2. 希望分野以外にも入学
指定校推薦では、大学側から高校に対して「学部」提示があります。
高校生が、その分野に興味がなくても、「大学に行ける」という魔法で推薦を受けてしまいます。
3. 基礎学力不足
もともと偏差値がさほど高くない高校から、受験勉強をしないまま「大学生」になるので、基礎学力が不足していることが指摘されています。一般教養の授業についていけない学生も多くなっています。
4. 退学者の増加
学習意欲、目的意識の欠如で、入学したあと「こんなはずじゃなかった」「合わない」「思ってたのと違う」など、の理由から、退学する学生が多いと指摘されています
5. 専門性の不足
Fラン大の多くは、「広く学ぶ」ことには違いないですが、全体的に学力は高くないので、採用する企業も評価が難しいようです。Fラン大学を卒業しても「本人の期待する学歴」としての評価を得らないこともあります。
6. 就活は売り込み型で就活迷子も
大学は、学生自ら「企業を探し」「一社ずつエントリーシートを提出」して選考に進みます。ですが、有名企業には「大学フィルター」がありますし、その他の企業も「学生時代に学んだ専門性」を評価します。結果、内定が出ずに「手当たり次第エントリーシート」を提出する「就活迷子」ことになることも多く、その結果、業種、職種もまちまちになり「応募動機に深みや厚みが出ない」のです。
まとめ
専門学校とFラン大学は、まったく異なる教育機関です。
専門学校は、特定の職業に就くための資格・スキルを身につける場所で、Fラン大学は、一般的な教養を学ぶ場所です。
「資格・スキルを身につけ、着実にキャリアを築きたい」と考えるのであれば、専門学校は非常に魅力的な選択肢となります。一方、「幅広い分野を学び、将来の可能性を考えたい」というのであれば、Fラン大学も選択肢の一つとなります。
しかし、Fラン大学に進学しても、明確な目標がなければ、単に4年間を過ごすだけで終わってしまう可能性もあります。
したがって、専門学校かFラン大学かを選ぶ際には、学校を卒業した後の就職についても無視することはできません。
どちらが自分のキャリアパスに合っているかを基本に考えてみるとよいでしょう。